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鍛錬

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 鶴田義行像と顕彰碑
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 3月26日。月。晴れ。日置市。227/36キロ。

 

 今日から、本格的な走行開始である。鹿児島で維新記念館を見学して、出発が遅くなったのと、丁度湯之元の温泉地に宿が有ったので、少し早いが35キロで止めた。

 

 鹿児島を出てすぐ三号線沿いの甲突川の横に、鶴田義行氏の像と碑があった。アムステルダムとロスアンゼルスの二度のオリンピックで平泳ぎの優勝者である。氏は、出身地は鹿児島だが、奥様の実家愛媛県で愛媛新聞社に入社して活躍された。

 碑にこんな意味のことが書かれていた。

 「辛いうちはダメだ。辛さに慣れ平気になってその後に、新しい世界が開ける・・・」

 私達年寄りは、無理は禁物ということを嫌というほど知っている。辛さを乗り越えるより、辛さを避けることで、無理も避ける。私の自転車旅行も、疲れたらお仕舞、「疲れる前に休む」がモットーである。

 筋肉も人間の能力も、ゴムみたいなもので、引っ張りすぎて伸びてしまったら、戻らない。しかし私の足の筋肉は、この三年間で仁王さんと見違えるほど付いた。氏が言われるように、辛さを乗り越えたとおこがましいことは言わない。しかし辛さを楽しさに誤魔化すことは、意識的にしたかもしれない。疲労の後の休養で回復すると、疲労以前より心地よい。

 今日も食事が済んだら七時には寝る。途中一回小用に起きるが、あとは、延べ十時間死んだように寝て、明くる朝は、体の隅々まで水を打ったように心地よい。疲労が回復するうちは、ゴムは切れていないようだ。35キロで止めたのは、正解だった。

 

 

 ぬるま湯で 焦らず怒らず 無理をせず

 

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