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 旅は道連れ

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 4月3日。火。曇り。徳山。748/74キロ。

 

 自転車のブレーキが、後輪の利きが少し悪い。前輪も気の故か異常音がする。

 小郡の自転車屋さんでみて貰った。自転車旅行は、自転車さんだけが頼りである。下川自転車屋さん有難うございました。松山の家の近くで、いつもお世話になっている梶野自転車さんも、分からないことはすぐ電話して教えて貰う。感謝感謝。

 

 小郡から徳山までの二号線は厳しい。アップダウンもだが、歩道はおろか場所によっては路側帯の外側に寸土の余地も無い。幹線道路だから交通量は切れ目がない。他に迂回路も無い。

 茶臼山のトンネルは、下から見上げてもここを通らなくてはいけないのかと思うと、背筋が凍った。思案していたら、土地の人がトンネルだけの迂回路を教えてくれた。放浪の俳人山頭火を生んだ長州の人は、放浪の旅人には優しい。しかし道路は優しくない。

 山ごと迂回するのだから、かなり遠回りして更に元の道へ上る。しかしトンネルよりはましだ。歩道のない狭いトンネルは、勿論押すのだが、排気ガスの中を念仏を唱えながら、後ろの車の気配に注意を祈るだけである。

 自転車が市民権を得て、日本列島縦断自転車専用道路なんて夢だろうか。全線4メートル幅で、平坦路面。夢、夢、夢。基地の島沖縄には、そんなおもいやりの行き届いた道がある。家族連れのヤンキーが颯爽とサイクリングをしている。しかしあそこは日本でない。

 自転車で走ると分かるが、狭い上に凸凹だらけで無い方が安全という歩道が殆どである。側溝の鉄の蓋は常に滑る。視覚不自由者の為の、黄色の線も自転車には横転の危険を孕む。路面カッターで継ぎはぎの路面は、合計の幅はあっても、その繋ぎ目が滑る。摩擦係数の異なる面は、合計して一面という訳にはならない。

 

 茶臼山を出た富海の厳しい登り坂の登り口で、福岡の坂井さんに会った。この方も北海道を目指して自転車の旅だそうだ。彼は私より八歳若い。キャンプ道具を満載し、リュックまで背負っている。四国に回って、北海道も一周するとのこと。徳山まで道連れで同道し、またの再会を約して別れた。

 

 山頭火 平成の道を ペダル踏む

 

 

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