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歴史を走る

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3月28日。水。晴れ。日奈久。353/74キロ。

 

 阿久根を出てから、八代の海岸線に出るまで、幾つもの峠越え。予定より走り過ぎだが、玉名に29日に着く為には、やや強行軍も止むを得ない。

 

 日奈久温泉は、種田山頭火も寄留したことがあるのか、一句残していた。

 温泉はいい ここは山もいい 海もいい

 山と海を愛でた大正の放浪詩人は優雅だが、平成の放浪変人は、道ばかり見て走るので、旅情も至って散文的にならざるを得ない。

 

 一年を一ミリに換算したら、私の人生70年は7センチである。釈迦の生まれたのが、ざっと2000年前だから、距離にして2メートルは、自転車のタイヤ一回転前。色即是空は、一瞬にして過ぎた。

縄文時代は距離換算では40メートルだから、鹿児島でフェリーを降りて、道路へ出るまでに過ぎる。アダムとイブの誕生が、300万年前として、鹿児島の中心地までの3キロ。それから先は人類はまだ居ない。

 今日走った薩摩街道の峠は、鹿児島を起点としたら150キロ。時間にして1億500万年。白亜紀、恐竜の時代である。

 地球の誕生が46億年前と言われる。ここから距離にして、樺太くらいか。

 目的地宗谷岬までは、3000キロとして、30億年まえ。生命の誕生の時期である。

 これから、約70日の時間を費やして、タイヤ一回転で2000年毎の時を刻みながら、地球の歴史を遡る計算だ。

 

 うつろいの 宇宙の命 わが命

 

 

 

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