出発編

 

日本縦断自転車一人旅日記   平成16年5月5日〜6月3日

               北海道中川郡美深町

               渡辺貞文 大正13年3月18日生

 

5月5日 水曜 午前曇後晴

かねてから、計画して居た日本縦断の旅、いよいよ断行の日が来た。午前6時出発のために外へ出る。やはりまだ肌寒さを感じた。そのときに、いつも世話になって居る、続木さんが餞別を持って来て呉れたので、有難く頂戴して、ついでに出発の写真を撮ってしばらく走ったところで、右膝が傷みを感じて来た。ふだんは左膝が傷むのだが、今日は右のほうが傷むのでどうしたものかと、少し心配になって来た。でもこの位の事でやめるわけにはいかないと思い、なんとかだましながら走る。今日は滝川まで行くつもりだったが、このぶんではとても行けそうにないと思い、途中から深川行きの道へ入る。それでも深川の街に着いたのは7時半頃になってしまった。そうして、おおはた民宿へ泊めて貰う事になった。

深川市4条14−9

電 0164−22−6235

 

5月6日 木曜 晴 西南西の強風

朝の内は少し曇り次第に晴れて来る。午前7時半頃民宿おおはたを出発、足の傷みも少しよいみたい。今日はこれからの試運転、何とか走れそうだと思いながら走って居ると10時頃になると、急に強風が吹き始め、閉口する。その後も益々風が強くなり突風もまじり困難を極める。走行は全くはかどらず、時速5〜6キロ位しか走れず。突風の為乗車できず、押して歩くことも度々で、然し今晩泊まる所迄は、なんとか行かなければと頑張る。夕方5時頃一軒のドライブインがあったので、なんとか一夜の宿をお願いしたところ、もう少し行った所に、町営の温泉宿が有るとのことを教えて呉れた。丁度そのとき温泉の従業員の人が来たので早速空室があるかどうかを尋ねたたら、空室があるとの事で本当に助かったと思った。その温泉は、月形温泉花工房。

今日は本当に疲れた。階段を上がるのも大変だったが、明日はどうなる事かと案じながら温泉に入り今日は疲れをいやす。

月形温泉花工房。

 

5月7日 金曜 朝曇り後雨後晴

昨日の疲れもなんとか回復。今日は向い風、十時半頃になり雨が降りだす。やはり予報通りに降って来たと思いながら少し走ったところで、ラーメン屋の看板が目に付く。時計を見ると十一時、少し早いが雨やどりをかねて、昼食をとる事にした。

雨はしばらく降り続く。一時間位休んでいたら少し小降りになったので、出かける事にした。雨は次第に止んだ。風もやみ走りやすくなる。やがて昔の思い出のある、石狩大橋につく。車では二三度通った事があったが、自転車では初めてなので、あきれる位長く感じた。暫くの間、275号を走る。やがて札幌市内に入る。高速道路の下を走る。それから少しの間274号となり、その後国道5号となり、そして山登りがはじまる。こんな坂道があるとは予想していなかったので、いささか閉口した。当然押して登るしかなく、少し歩いては休み、又登っては休みあえぎながら漸く頂上に着いたのは夕方6時になって居た。それから急な坂道を下ったのはあっという間だったが、これからが大変。宿探しを始める。交番で聞いたが中々見つからず、そのうち暗くなってしまった。また交番があったので、なんとか宿を見付ける事が出来た。その宿の名は、魚松旅館。昨日今日の強行軍で体力を消耗したので、予定を変更した。新日本海フェリーで舞鶴港に行く事にきめた。

 

5月8日 土曜 晴風強し

昨夜日本海フェリーの出航の日程を聞いたら月曜以外は毎日出航しているとの事なので、八時頃旅館を出る。中々フェリーのターミナルがわからず、人に聞きながら漸くたどりつく。でも受付をする所がわからず、迷っていると、若い女の人がきたので、早速尋ねてみたら、わたしもそのターミナルに行くところなので、一緒に行きましょうと言ってくれたので、着いて行き、乗船の申込書の書き方まで教えてくれたので助かった。その人は、帰りのチケットを持っていたので、ここには用はなかったらしい。乗船の手続きをすました後は、二輪車の所で待つようにとの事で、行って見ると、大きなバイクが八台程たむろして居た。本州から北海道を観光に来た帰りとの事らしい。自転車は俺の一台だけ、九時頃乗船し十時に出発舞鶴に向う。天候は晴れて良好だが、外へ出るとすごい風で吹きとばされそうなので、直ぐ中に入る。この分では、陸上もかなりの風だと思う。やはりフェリーに乗ってよかったと思った。夜もよく眠れた。加藤さんから電話があり、予定を変更したことを告げる。

 

5月9日 日曜 晴後小雨

昨日に続きフェリーなので、ゆっくりと体をやすめる事ができてよかった。風はあい変わらず強風で外へ出られない位。陸地も多分強風が吹いている事と思いよかったと思った。夕方5時舞鶴港到着の放送が流れる。舞鶴の入江に入ったら風もなく外へ出て、風景を眺めながら写真をとる。夕暮れになり小雨が降る。宿は直ぐに見つかる。京都府舞鶴市、シーサイドホテル・バルコに宿泊。

 

 

出発の時
国道40号線より大雪山を望む
深川町の民宿
深川町の街並み
月形町営の温泉宿 はな工房
小樽港の風景
船上から見た小樽の風景
船上から見た小樽の街
船上から見た北海道の山
新日本海フェリーの通路
フェリーの後部娯楽室
フェリー内の売店
フェリー内のロビーにて
船内の航路地図
船上よりの眺望
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